東京医科大学以外にも女性差別や多浪差別は医学部受験でよくあるお話

本記事は医学部受験をしていた著者の個人的に実感した話です。ただ大部分は医学部予備校、医学部受験者にとっては当たり前になっているお話です。

 

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本日この記事がありました。東京医科大学が受験時、女性差別をしているというお話です。裏口入学の件もありましたが、はてなで1000ブクマ以上を獲得するほどこちらの話題にも関心が高いと感じました。

追記

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記事が消えていたのでこちらです

 

 医学部受験するうえでずっとついて回るのが多浪差別女性差別地域差別です。

この3つは医学部受験界隈では結構当たり前で少なくともその差別が行われてる大学に自分が該当する場合、第一志望でもない限りそこまで勧めないというのが医学部予備校でもよく見られます。

 

 

多浪差別のお話

医学部受験では当然のように多浪差別があり、なぜ多浪差別があるのかというと多浪は現役、1浪で医学部に入ってきた子達よりテストの成績が悪く、留年率、退学率が高いというのが通説であります。一人退学するだけで私立医学部の場合3,4000万の学費がなくなるのは痛手です。また医学部を卒業することで受験できる医師国家試験も大学別に合格率が公表されます。面白いことに多浪差別をしていると思われている大学のほうが受験者の合格率がいいのです。合格率が高ければそれほど大学としての箔が付きます。こういったことにより多浪より現役生のほうが大学側が取りたいのが実情です。もちろんそういったことにも流されず多浪をしっかりとってくれる大学もあります。基本的に多浪や再受験生が一般入試で有利に働くことはありません。

 

医学部予備校関係者で差別が限りなくない大学と言って思い浮かぶ大学の1つが近畿大学です。一般的に医学部は1次試験で学科試験、2次試験で面接、小論文がありますが、差別が行われやすい所は2次試験の面接です。そこでゲタを履かせてあげることが1番よく聞く話です。また面接で多浪や再受験も点数が引かれることが多々あります。

近畿大学の現浪比はこのようになっています。

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近畿大学医学部 入試受験情報2018|医学部予備校レクサス教育センターより引用

注目してほしいのは3浪以上その他が30%近くあることです。現浪比率については非公表にしている大学もあり、また3浪以上としっかり区分している大学もそこまで多くない中で、これはほかの医学部に比べると情報がクリーンなうえに3浪以上が多いです。

 

3浪から多浪差別する大学はちらほらあります。

特に 私立医学部 で一番偏差値の高い慶應義塾大学は3浪以上の入学者がほとんどいません。

 

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慶應義塾大学医学部 入試受験情報2018|医学部予備校レクサス教育センターより引用

 

慶應の場合大学が公表しているのは2浪以上となっております。こちらのグラフを見ていただくと 現役67%1浪26.9%2浪以上6.1%となっており、この2浪以上の11名はほとんどが2浪生です。

現役が5割を超えてる私立医学部は慶應以外にありません。

ただこれと似たような分布になっているのは東京大学であり、東大の医学部は過去に10年ほど医学部の面接が課されていませんでした。面接がない点からも差別がしづらく、実力主義であることも言われてきました。近年面接が復活したのは医師になるのに不適とされる数名を落とすためだけと思われます。(現在医学部受験で面接がないのは九州大学のみ)

そういった点からも慶應は私立医でも別格のレベルであり、最上位に受かる学生は現役の時点で圧倒的な学力を保持しております。多浪生の場合慶應を受ける学力以前に中堅から下位の私立医学部ですら受からない学力レベルの場合も多いので慶應を受ける多浪生もほかの医学部に比べ多くありません。

 

ここで問題となった東京医科大学の現浪比もみてみます。

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東京医科大学医学部 入試受験情報2018|医学部予備校レクサス教育センターより引用

3浪以上が11.7%とほかの医学部に比べても低いです。0ではないのですがほかの医学部と比べても少ないため、なんらかの減点があると推測し、多浪生の場合ほかの医学部と受験日が重なっていればそちらの大学を予備校にも勧められるでしょう。

ほかに見ていただきたいのは男女比の割合です。こちら女子が45%となっておりこの割合はほかの大学より高いのです。男女比を公表している私立30大学中5位です。

東京医科大学は2011年から女子の点数を下げる行為をしているにも関わらずこれなら実際は男女比は逆転してしまうのではないでしょうか?また女子比率が多い東京医科大学でこれなら他大はどうなるのでしょうか?

今年の受験データはすべて出そろってないのですが北里大学は私立医学部で今年初めて女性比率が50%を超えた大学です。徐々に増えつつあるのも事実ですがまだ実際は差別されているのかもしれません。

 

女性差別で何回か噂されている大学の1つに昭和大学があります。

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昭和大学医学部 入試受験情報2018|医学部予備校レクサス教育センターより引用

こちらの大学は寮の関係で男女比が割り当てられておるとの話があり今年は微増しましたが、毎年3割弱ほどの女子比率でした。またこちらは現役有利の大学の1つもなっており、偏差値ラインは上位と中堅の間となっており国家試験の合格率も毎年安定しています。

 

東北の医師不足を背景に近年創設された医学部、東北医科薬科大学の内訳はこちらです。

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東北医科薬科大学医学部 入試受験情報2018|医学部予備校レクサス教育センターより引用

こちらの大学は奨学金がある代わり一定期間指定された東北地方で働かなければいけません。縛りのある学生は全体の7割ほどとなります。こちらができた当初、30代の入学者も何人かおり、多浪生も多くいたため差別はないと思われていました。ただ内訳をみると女性が2割ほどという国立私立含め東京大学に次いで2番目に女性が少ない医学部となりました。ただそもそも女性は多浪生が多くないといった事情もありなんとも言えない状況です。

 

またとある大学も多浪生、再受験生には差別をしていないが、入学者の女性に2浪以上がここ数年ほどいないといった大学もあります。しかし女性比率でいうとほかの大学の平均と変わりありません。これも女性の多浪生がそもそも多くない上に合格を出した2浪以上の女性がほかの医学部にいってしまった可能性もあるのでそこまであからさまな差別といえませんが1つの事例としてあげます。

 

 

地域差別については地方の大学の場合人手が足りていないのが現状です。首都圏はむしろ供給過多で医者が多いのに地方にはいません。そのため地方の医学部は地方に残ってくれる学生を必要としています。縁もゆかりもないよそからきた学生は6年間勉強した後地元に戻ることを大学は懸念しております。

例えば東日本にあるとある地方の医学部の場合、優秀な受験生が欲しかったり、受験料6万円を回収するために、首都圏や西日本にも試験会場を作ったりするのですが合格の番号が載った掲示板に西日本の合格者だけ著しく少ないといったことがあります。

 

大学のなかには試験の得点開示をしない大学もあれば受験したときの問題用紙をしっかり回収する大学もあります。今年に至っては大阪大学で採点ミスがあったことから例年にもまして試験後の問題訂正の大学が多くありました。しかし大阪大学の件がなかったら問題訂正の開示もあったか疑問です。

 以上の通り医学部受験はいろいろと不透明な部分も多く情報も開示しないためグレーが多くあり、受験生や親御さんはそういった情報に振り回されてしまいます。医療の世界は一昔の前の体制が維持されたままです。今回この事件で差別がなくなるきっかけになればと思います。